インプラントとは?なぜ他の治療とは費用が異なるのか?

最近、歯医者さんの治療で、多くの人が耳にする機会が増えた言葉。それが「インプラント」です。
インプラント治療とは、よく聞くけど、どういった治療なのか、どうして費用が高いのか、他の差し歯や部分入れ歯という治療と比べてメリットがあるのか、そういったインプラントの疑問に一つずつ答えていこうと思います。

 

インプラント治療とは?

インプラント治療というのは、人工歯根とも呼ばれます。
この言い方の方が初めて聞くという人もいるかもしれません。
歯は一度抜けてしまうと、永久歯の場合、二度と生えてきません。
そのため、保険治療では抜けてしまった歯を補うために、差し歯や部分入れ歯の治療を行います。
ですが、差し歯とも、部分入れ歯とも異なる治療がインプラント治療です。

インプラント治療とは、抜けてしまった歯の歯ぐきのところに、人工歯根という材料を埋め込む治療です。
言葉にするととても簡単そうですし、大したことなさそうですが、これは、大変難易度の高い治療です。
歯茎にインプラントを埋め込むだけ、インプラント材料の見た目はまるで、ネジで、棚を組み立てるときのように簡単そうに見えます。

ですが思い出してください。棚を作った経験のある方、今では3段ボックスを組み立てたことがある人も大勢いるかと思いますが、板どうしをネジで固定するときに、まっすぐすべてのネジを打つことができますか。
実はかなり慎重にネジを打たないと、斜めにネジがなってしまって、板からネジがはみ出てしまったという経験が一度はあるのではないでしょうか。

かなり慎重にネジを回してやっとまっすぐ棚が作れます。こういった簡単な作業にインプラント治療を例えるのは少し違うかもしれませんが、インプラント治療もインプラントという材料をまっすぐに歯茎、しかもその下にある骨に埋め込まなくてはいけません。しかも人によってまっすぐに打つわけではありません。
人の体、骨にインプラントという材料を埋め込みます。当然、神経や血管など、多くの体の組織が存在しています。

それを傷つけないように、インプラントというネジのような人工歯根を打ち込みます。患者さんの骨の状態や神経、血管すべてを事前の検査で把握します。
さらにインプラントがしっかりと骨に打ち込んで、機能をしなくてはいけないため、土台の骨の把握も重要です。
骨がないところにインプラント治療をすることはできません。

家を建てるときに土壌を調査しますが、それと同じで、土台がしっかりとしていないと、いくら柱がしっかりした家を建てても意味がありません。
それと同じことがインプラントにも言えます。このようにインプラントは、骨をインプラントという人工歯根を埋め込むため、他の治療よりも難易度が高いのです。

ですから、インプラント治療をするときには、その人の全身状態、インプラントを打つ場所の骨の状態、周囲の神経や血管の状態を検査します。
条件がすべて満たされたときにはじめてインプラント治療を受けることができます。
しかし、骨が歯周病によって溶かされていて、土台がしっかりとしていない場合や、歯茎が極端に下がってしまっている場合など、インプラントを打つ条件がすべてそろっていない方の方が多いです。
そのため、骨を補てんするための手術が必要となったり、さらに、下がってしまった歯茎に対する手術が必要になることがあります。
インプラントの治療をしようといきなり歯医者さんに行っても次の日にインプラント治療によって噛めるようになるという治療ではありません。

 

インプラント治療はどうして保険がきかないの?

インプラント治療は保険診療ではなく、自費といわれる診療になります。
その理由はインプラントがまだ新しい治療であり、インプラントの技術は歯科大学を卒業後、別で勉強が必要だからです。

近年になってやっと歯科大学の必修科目として取り入れられたものの、基本的な知識のみで、実技、つまりインプラントの治療技術を習得するまでの実習はまだしっかりと歯科大学では体系化されていません。
入れ歯や差し歯と呼ばれる治療は古くからある治療であるため、学問として体系化されており、技術も歯科大学で歯科医師になるために習得します。このような違いから、インプラントは保険がきかず、自由診療となっています。

したがって歯科医師でもしっかりと勉強し、インプラントの治療についてしっかりと学ばないとインプラントはできません。
当然、技術を学ぶにはお金がかかりますし、インプラントの治療をするための道具は医療機器であるため、高額ですので、インプラント治療の技術を習得するだけで、高額な費用がかかります。

さらに、日本の保険制度は、完全に元の健康な状態で戻すことを目的にしていません。
あくまでも生活に支障がないような状態に回復すればいいという考え方です。
ですから、たとえ、インプラント治療の方が、しっかりとご飯を食べられるにしても、入れ歯でも、差し歯でも、ご飯を食べることができます。

インプラント治療は保険適用をする必要がないと国が判断しているともいえるでしょう。
インプラント治療を保険で受けられないことは残念ですが、こういった理由から、保険がききません。

 

インプラント治療の費用はどれくらいかかるの?

インプラント治療の費用は非常に多様で、歯科医院によって費用が異なります。
保険診療は全国どこの歯科医院で治療を受けても治療費用は変わらないのにどうしてなのでしょうか。

その理由は、インプラント治療の材料や行う環境が影響します。
インプラント治療に使用している材料は全て高度医療機器であり、高い品質を誇る高額な道具です。
それは、人を治療する道具ですから、当然のことです。
仮に100円ショップの材料が使われていたとしたら、医療としての安全性に疑問を感じますよね。
保険診療も本来、10割負担していたら、かなりの金額になります。

しかし、医療では、人が健康に生活できるようにということで、毎月社会保険や国民保険に加入し、保険料を支払い、その中で、国が患者さんの治療費を負担してくれています。
一般的な健康な成人での治療費は3割負担ですから、残りの7割は国やみんなで支払っている保険料でまかなわれています。
ですが、インプラント治療はこの負担がないため、歯科医師が治療にかかる材料や道具の値段、そして技術料として、インプラントの料金を設定されています。

また、インプラント治療に使用する道具は、購入したらいつまでも使い続けることができるわけではありません。
何回使えるか決まっているものもあり、10回使用したら、次はまた新しく買いなおさなくてはいけない道具もあります。
それほど、人の治療をする医療機器には、費用がかかるということです。

つまり、インプラントの治療費用が高額になる理由として

・保険による負担がない
・インプラントの治療に使う医療機器が高額
・歯科医師がインプラントを習得するための費用がかかっており、技術料が高くなる

といったことがあげられます。

歯科医院で購入した材料や医療機器の値段、歯科医師の技術習得までの費用の差によって歯科医院によってインプラントの治療費用が異なっています。
中には歯科医院の先生がほとんど利益がなく、頑張って価格を抑えている医院もありますが、インプラント治療は時間も手間もかかるため、歯科医師の時間単価がとられる治療ですので、やはり治療費用はかなり高くなります。

インプラントの治療本数にもよりますが、1本あたり、30万円から50万円といったところが多いようです。
10万円や中にはさらに安い価格でインプラントの治療を行っている歯科医院もあるようですが、そういった歯科医院では逆になぜ安いのかしっかりと歯科医師の説明を受けましょう。
材料が生体材料つまり、生体につかってもいいという国に許可がでていない材料を使っていると、当然材料もやすくなりますが、安全性は当然低くなります。
食の安全性も問題となっていますが、安いということにはどこかに必ず理由があります。
もちろん大量購入や定額制などによって費用を抑えて努力している歯科医院もあるので、もし、インプラントの治療を受けるなら、まずは歯科医師に費用についてしっかりと説明を受けましょう。

 

インプラントは差し歯や部分入れ歯に比べてどうなの?

インプラント治療を検討している方も多いですが、気になるのは、他の治療、いわゆる差し歯や部分入れ歯と比べてどのようなメリットがあるのか、患者さんの状態にもよりますが、一般的なメリットとデメリットについてまとめます。

メリット

・しっかりと噛める
・見た目がいい
・他の歯が犠牲にならない
・入れ歯では取り外しの手間があるが、そういった食事ごとに感じる手間がない
・違和感がない

デメリット

・費用が高い
・全身疾患など、患者さんの状態によって受けられないことがある
・治療に時間がかかる

 

インプラントと差し歯を比べてみると、差し歯、これは専門用語でブリッジ治療という治療では、歯が1本抜けてしまった場合、両隣の健康な歯を犠牲にて削ってかぶせ物をします。
そのため、健康な歯を削って、なくなってしまった歯の機能を補います。
削った歯は虫歯になるリスクは上昇します。
さらに、今まで生えていた歯の分まで、噛む力を負担しなくてはいけないため、歯の寿命も歯がなくなってしまう前と比べると、短くなります。

保険診療では金属しか差し歯には使えません。
そのため、見た目も悪くなっておもいっきり笑うと銀歯が見えてしまうことがあります。
インプラントはそういった心配はなく、しっかりと噛め、何よりも他の歯を削ってしまうような犠牲にすることはありません。

部分入れ歯とインプラントを比較してみると、まず、取り外しの手間がありません。
しかもどんなにいい入れ歯でもやはり違和感を完全になくすことはできませんが、インプラントではそういった異物感がありません。
何よりも入れ歯とインプラントでは噛んだ感じがインプラントでは今までの歯のように食べることができますので満足度が高いといえます。

ただし、インプラントはしっかりと検査をして、治療に長い期間がかかります。
そのため、そういったデメリットをよく理解して、インプラント治療を受けるか、もしくは、保険の差し歯や入れ歯にするかを決めましょう。

 

インプラントって一生もつの?

よくインプラントは高額費用を支払ったのだから、一生もつんじゃないの?という人がいますが、それは間違いです。
例えば、どんなに高級な外車を購入しても、運転する以上、交通事故にあう可能性があります。
つまり、高級外車だから、一生壊れないような保証はどこにもありません。

さらに高級外車も定期的な車検は受けなくては一般道さえ走ることができません。
車は常に道を走る以上、どこかの部品に異常がいつでるかもわかりません。安全に道を走れるように、定期的なメインテナンスが必要です。

これと全く同じことがインプラント治療後にも言えます。
さらにインプラント治療あと、人は毎日1日3食、お菓子が好きな人はおやつを食べます。口の中は毎日噛むことによって体重の倍以上の力がかかります。
さらに、食べ物でもコーラなどの炭酸飲料は酸性度が高く、お口の環境を悪化させます。
歯を磨かなければ、歯周病菌が繁殖して歯茎が炎症を起こして、土台の骨を溶かしてしまうことだってあります。
過酷な環境の中インプラントが長く口の中で機能していくということは非常に大変なことなのです。

ですから、車と同じで、定期的に歯科医院でインプラントのメインテナンスが必要です。
インプラントは人口のものですので、汚れがつきやすかったりします。
さらに天然の歯と違って防御機構があるわけではないので、インプラント周囲炎といってインプラント周囲の炎症が進行してしまうと、元にもどりにくかったりします。

そんなことにならないためにも、インプラント治療を受けた後はしっかりとメインテナンスを受けましょう。
歯科医師の指示に従い、適切なメインテナンスを受けることで、いつまでもインプラントでご飯がおいしくたべることができます。

インプラント治療は確かに費用が高いですが、差し歯や部分入れ歯にはないメリットがたくさんあり、健康寿命を延ばしてくれる素晴らしい治療です。ぜひ、インプラント治療に興味がある人は歯科医師まずは相談してみることから始めましょう。

 

関連記事

  1. 入れ歯が痛くなる理由

  2. 白い塊が口の中にあったら、歯周病かもしれません!

診療スケジュール

赤い印の日は休診日です。

来月の予定は月の脇の矢印を 押してください。

PAGE TOP