入れ歯が痛くなる理由

歯を歯周病や虫歯で何本か抜いてしまうと、ブリッジという差し歯の治療ができないため、入れ歯になります。
入れ歯の治療して、初めていれてさっそくおいしいご飯が食べられるかと思ったら、痛くて全然噛めないといって、びっくりされる患者さんが多いです。
また、長年使ってきた入れ歯が、だんだん痛みがでるようになってきて、痛くて噛めなくなってしまったという患者さんもいらっしゃいます。

どうして入れ歯は痛みがでてしまうのか、また、入れ歯を作るまでには、時間がどうしてかかるのか、入れ歯治療についても詳しく説明していきます。

 

入れ歯治療の流れ

入れ歯をいざ作るとなると、部分入れ歯、総入れ歯でもその治療時間は異なります。
総入れ歯の治療をメインにどのような治療が必要なのその治療を順に説明していきましょう。

<総入れ歯の治療の流れ>

1,型どり

まず、歯茎の状態に問題がないか診察し、問題がないようであれば、歯茎の型をとります。上と下両方の型をとります。
初めて作る場合は、上下いっぺんに作りますが、患者さんによっては、上の入れ歯だけ、下の入れ歯だけという場合もあります。

上の型どりの場合は、ほっぺを歯医者さんが引っ張ったり、口をすぼめてくださいなどと指示を出します。
このほっぺや、口を動かした状態をしっかりと型どりのときに記録することで、いい入れ歯ができるかが決まることがあります。
下の型どりの場合は、ベロをベーっと出したり、左右に動かしたり、上の型どりと同じように、ホッペを引っ張られたりします。
この型どりは、既成の型をとる道具で行います。
多くの歯医者さんはこの型取りでそのまま入れ歯を作ることが多いです。

また、歯医者さんの中にはさらにしっかりと型をとってお口の中を診察したいという場合は、この最初にとった型をもとに患者さん専用の型どりの道具、トレーを作る場合もあります。

2,患者さんの専用の型で型どり

この過程は歯医者さんによってあったりなかったりしますが、より詳しくお口の中の状態を知りたい場合は、最初に既製のトレーを使ってとった型をもとに、患者さん専用のトレーを作ります。
そして、オーダーメイドのトレーを使って、患者さんの口の中を再度型どりします。
オーダーメイドですので、既製のトレーよりもキレイにお口の状態が記録できます。

3,かみ合わせを決める

型どりが終わったら、患者さんのお口の中を模型にします。
模型をもとに、患者さんの本来の歯の高さはどれくらいだったのか、お口の幅はどれくらいだったのか等を、歯科技工士という専門の人が、咬合床というものを作ります。
そしてそれが出来上がってきたら、歯科医師が、実際に患者さんに咬合床という入れ歯の元となる材料をつけます。
このときに歯医者さんに、頭をまっすぐしてくださいと指示されたり、また鼻から顎までの距離や、口の中にプレートをいれて、目とこのかみ合わせを決める咬合床という材料が平行かどうかを診査します。
患者さん個人個人に合わせて診査するので、時間がかかります。

4,歯を並べた入れ歯の完成段階の前のものを見た目が悪くないかチェック

かみ合わせを決めたら、次は、歯科技工士が、かみ合わせを決めた咬合床という材料に歯を並べます。
歯を並べたら、入れ歯を完成させる前に患者さんに実際につけてみてチェックします。
患者さんも見た目がこれで問題ないかを確認します。
このときに見た目が問題ある場合は、歯科医師が再度並べなおします。
見た目や発音に問題がないかどうか確認したら、その見た目で入れ歯を完成させます。

5,入れ歯完成し、患者さんに実際につけてもらう

今までの検査をもとに、入れ歯が完成します。
そして、入れ歯を装着したら、実際に痛みや違和感がないかをチェックして、微調整を歯科医師が再開していきます。
部分入れ歯もこのような治療の流れになりますが、なくなってしまった歯の本数に合わせて、型どりをしたら、次回完成だったりと、治療期間が短くなることがあります。

 

どうしてせっかく新しい入れ歯を作ったのに痛みがでるの?

せっかく新しい入れ歯をいれたのだから、いきなりなんでも食べられると思っている患者さんが多いようですが、そうではありません。
新品ピカピカの入れ歯は必ず調整という治療が必要です。

靴を買ったときを思い出してください。
靴は最初かったときは靴ずれを起こして、傷ができませんか?何回も履いていくことによって、だんだんと靴は足になじむようになります。
靴の場合は、やわらかいので、勝手になじんでいきますが、入れ歯は硬いプラスチックや金属の材料ですので、勝手になじんでいくことはありません。

歯科医師が実際に噛んでもらって、痛みがでたところを診査して、削ったりして、調整をしていきます。
ですから、いきなり、新しい入れ歯を使って、痛みが全然なかったとい患者さんは非常に少ないです。

しかも毎日の食事に使う入れ歯です。口の中は硬いものや柔らかいもの、お肉やご飯、野菜では噛み方も異なります。
毎日使って、少しずつ調整していくことで、患者さん個人個人の食生活にあった入れ歯の調整が必要なのです。
最初は時間がかかりますが、調整を重ねていくことによって、自分にあった入れ歯へと変わっていきます。

 

ずっと使ってなじんでいた入れ歯に痛みがでた、どうして?

ずっと前から使っている入れ歯がだんだんと合わなくなって、痛みがでています。
これは残念ながら長く使っていればいるほど、そういった痛みの症状はでてしまいます。

主な原因は
・体の変化
・入れ歯の変化

です。まず体の変化について説明しましょう。
体の変化は、加齢などによって、体は常に変化していきます。

最初はピッタリだった入れ歯もずっと使っているうちに、歯茎の下にある骨が少しずつ吸収してしまいます。
よく患者さんが使う表現でいうと、「歯茎がやせてきた」という状態です。
歯茎が痩せたということは、土台である歯ぐきの下の骨が、すこしずつ加齢によって吸収されて、少なくなってしまったいう状態です。
特殊な手術などの治療をしない限り、骨が元の状態に戻ることはありません。
ですから、今の自分の状態に入れ歯を調整したり、新しく作り直す必要があります。

もうひとつは、入れ歯の変化です。
入れ歯はどうしても、プラスチックの材料で作られます。しかも、毎日1日3食のたびに使われます。
毎回噛むたびに入れ歯には噛む力が加わり、しかも、唾液に満たされたお口の中にさらされ続けています。家が外で建っているよりも過酷な状態です。

毎日台風なみの力が家にかかっていると考えると、入れ歯にも相当なダメージが加わっているということがイメージできるのではないでしょうか。
そのため、歯に使われている材料がすり減って、だんだん噛みづらくなったり、痛みがでるようになってきます。
ですから、入れ歯も修理やメインテナンスが必要となります。

 

入れ歯の痛みがでたときはどうすればいい?

入れ歯が痛いときは無理して使うことは避けましょう。
すぐに歯医者さんに行って、適切な治療を受けてください。
無理して頑張って使う方がいますが、かえって口の粘膜に傷がついて、
調整したあとも痛みが続きます。

 

入れ歯が痛いときは、入れ歯の安定剤使ってもいいの?

入れ歯が痛いときに安定剤がよく販売されていますが、これは入れ歯の安定を補助するためのものですので、安定剤を使って、入れ歯が使いやすくなるのであれば、問題はありません。
歯医者さんはピッタリの入れ歯を作っていますが、小さな小さな隙間はどうしてもうまらないことがあります。
その隙間に入れ歯の安定剤を使うと、フィット感が増し、ご飯が食べやすくなるのであれば問題はありません。

注意点は、入れ歯の安定剤を使った後は、しっかりと、入れ歯の安定剤を洗い流してください。
そのまま放置すると、そこに細菌が繁殖して、臭いがしたり、中には、硬く固まってしまうと、入れ歯から取れなくなったり、硬くなったまま使ってしまうと、お口の粘膜に傷をつけてしまうことがあります。
入れ歯の安定剤を使うときは、、しっかりと洗い流すようにしましょう。

 

入れ歯の手入れが非常に大切

入れ歯を長く使っていただくために重要なことは、やはり日頃の手入れです。
歯を磨くのと同じで、入れ歯も毎日手入れが必要です。
ただ、間違った手入れをしてしまうと、かえって入れ歯が臭ったり、変形したりするので、やめましょう。
よくやりがちな入れ歯の手入れ方法をご紹介します。

・熱湯につける

熱湯で殺菌すると、菌がいなくなるような気がしますが、入れ歯は、プラスチックでできています。
したがって熱湯で殺菌消毒してしまうと、変形して、入れ歯が合わなくなってしまいます。
プラスチックですので、変形してしまうと、歯科医師でも修正するのは非常に難しいので、再び作りなおす必要があります。
熱湯でつけたくなるとういう人もいるかと思いますが、入れ歯が変形してしまうのでやめてください。

・歯磨き粉で入れ歯を洗う

今までの歯磨きと同様に、入れ歯を歯磨き粉で、磨いてしまう場合がありましが、これもやめましょう。
歯磨き粉には研磨剤といって、歯を磨く成分が入っています。
この研磨剤という成分は、入れ歯の表面を削ってしまい、小さな傷がついてしまいます。
小さな傷に細菌が繁殖してしまうと、入れ歯が臭ったり、変色してしまったりします。
入れ歯は歯磨き粉を使って洗ってしまうと、傷がつくので、やっていたという人は、やめましょう。

・入れ歯を乾燥させる

入れ歯を洗って寝るときに入れ歯を乾燥させる方がいますが、入れ歯は乾燥させていけません。
乾燥させると、プラスチックであるため、ヒビが入りやすくなります。
ですので、専用の容器に入れ歯を水に浸して保存すると、入れ歯が長もちします。

<入れ歯の正しいケア方法>

入れ歯は歯磨きと同じで、食事のあとは、できるだけ水洗いをするようにしましょう。
また寝る前は、専用の入れ歯を専用の柔らかいブラシがあるので、流水で洗うようにしてください。
このとき、入れ歯を歯磨き粉で洗うことはやめてください。

その後、キレイに汚れを落としたら、水につけましょう。
このときに入れ歯の洗浄剤を使うと、細菌も除菌できるのでおすすめです。
また定期的に歯科医院に行って入れ歯を超音波による専門の機械で
洗うと汚れがキレイになります。

 

入れ歯は作った方がいいの?

入れ歯を作るのが面倒くさい、恥ずかしいという方が中にはいらっしゃいます。
おかゆなどやわらかいもので対応していれば問題ないと考えている方がいますが、入れ歯を入れないと様々な問題がでてきます。

まず、部分入れ歯でも、総入れ歯でも、入れていないと、ないときよりも食べる効率が低下してしまうので、食べ物が食べづらくなります。

また、入れ歯を入れないことによって、部分入れ歯の場合は、歯がないところに今ある歯が動いてきます。
歯は、なくなってしまったスペースを埋めるために、動こうとします。
すると残っている歯が動くことによって、かみ合わせが変化します。

かみ合わせが変化すると、さらに噛みづらくなったり、体のバランスが変化し、肩こりなど、全身への影響もでてきます。
他にも入れ歯を入れることによって、噛む刺激が脳へと伝わり、認知症予防にもなるとされています。

総入れ歯であっても、部分入れ歯であっても、歯を使って食事をするということは、脳の顔面の知覚などを司る領域を刺激します。
実は、脳の支配領域の中で、口は大部分を占めます。
脳の最大の領域である口を司る領域を刺激すると、言語などの他の領域も刺激することができるので、認知症を予防、進行を遅らせることが期待できます。

おいしいものをしっかりと歯を使って食べることは、脳へ刺激を与え、認知症も予防してくれます。
そして、入れ歯を入れて一番のメリットといってもいいのは、総入れ歯の患者さんの場合、おもいっきり笑えるということです。
笑うことによって、免疫力が上昇したり、ガンを抑制する効果もあるということが非常に注目されています。
入れ歯を入れて笑っておいしいご飯を食べることができれば、免疫力もアップして、ガンも予防できるので、一石二鳥以上のことが期待できます。

 

入れ歯が痛くてそのままにしていませんか

入れ歯は調整が大切です。歯科医師がしっかりと患者さん個人個人にあった入れ歯を作るためには、患者さんも一緒になって通院してもらわなければ、いい入れ歯を作ることはできません。
時間はかかりますが、しっかりと通って、痛くなくなっても、使っているうちに、合わなくなってくることもあるので、定期的に入れ歯をチェックしてもらいましょう。

そのときに入れ歯にたまった汚れもキレイにしてくれます。
ぜひ、ずっと笑顔でおいしいご飯を食べるためにも、定期的に入れ歯をチェックしてもらってくださいね。